竹熊先生について

そもそもの切っ掛けはたけくまメモでの「SUICA合法的詐欺問題」でした。
http://d.hatena.ne.jp/aniota/20070501/1177986073
SUICAを解約しようとした竹熊先生がその解約手続きの煩雑さと払い戻し手数料が取られる事に納得出来ず「JRは合法的詐欺で手数料を搾取している」と自分のblogでSUICAとJRを叩いた件。この件で都合3回もエントリーを起こすなど個人の愚痴にしてはずいぶんしつこく、次第に騒ぎも大きくなって愚痴の範疇を逸脱しつつあった。コメント欄も荒れてましたが、その中には「払戻手数料は切符にも存在するのでSUICAはそれに乗っ取っているだけなのでは」というもっともなコメントもあったのですが、竹熊先生は最後までそれについて触れる事はありませんでした。
その顛末を見ていた俺は竹熊先生の物書きとしての姿勢に疑問を持ちました。JR憎しという感情で突っ走り自分に都合のいい所だけを抽出して、ただJRを叩きたいだけだったんじゃないかと。エントリー名「竹熊先生どうしちゃったんだろう?」に当時の俺の戸惑いが感じられるかと思います。
そしてつい先日、竹熊先生のインタビュー記事を拝見した。
http://d.hatena.ne.jp/aniota/20070518/1179420976
http://career.biglobe.ne.jp/kyujin/shigotonin/shigotonin14_04.html
インタビュー記事自体はなかなか興味深いインタビューですので是非ご一読を。
ただ、これを読んで思ったのは、竹熊先生はインターネット、blogというメディアに過度に傾倒しているのが窺い知れ、悪い言い方をするとブログ、ブロガーという言葉に浮かれてる印象(コメントが荒れないようにする方法を得意げにぶちかましている辺りとか)を持ちました。そして将来的にblogで食っていければ、みたいな話を見るに付け、今回の件もこういう思考の元に読者を煽っていたんだとしたらこれはちょっと危険ではないかと感じました。
あと基本的な事として、俺は別に非親告罪化に賛成してません。色々な意見が乱立すると黒か白かにはっきり分けられがちですが、ただ竹熊先生の取ったアジテートの方法について異議を唱えているのです。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_81b3.html

もちろん、俺は読んだ上で「非親告罪化に反対」と言っております。俺としてはむしろ、行政府が発表した文書を書かれてある通りに信じる人が多いことに驚いてます、大変失礼ながら。まあ、本当に書かれてある通り、海賊版業者を取り締まる「だけ」だったら結構なのですけど。

現状「国が二次創作の弾圧をする」という可能性だけが一人歩きして陰謀論をベースに話が進行してます。陰謀論は誰も「陰謀など無い」なんて証明出来ない上に、何か起これば「それ見た事か」、何も起こらなければ「何もなくて良かったね(もしくは話題にもならずひっそり消えていく)」とどっちにも転べるというとても便利なものです。もっとも説得力が無ければ陰謀論など鼻で笑われるだけですが、今回の場合はやはり物書きとしての力量でしょうね、実際の逮捕例や模倣問題などを例にあげ、うまく波に乗ったと思います。

某新聞記者氏によれば国会に提出される段階でまず野党への根回しは済んでいるものだそうで、国会審議前に世論に問題提起するのが一番だそうです。

こういうたわけた法案(まだ法案以前ですが)は、芽のうちに摘んでおくほうがいいと思うわけです。

芽を摘むためにもっとも効果的な方法を採ったと読めます。
エンターテインメントならば自分のサイトで言いたい事を多少誇張してでも言うのはいいでしょう。しかし、この件こんな偏ったアジテートで語って欲しくなかった。もし書き手が竹熊先生じゃなかったらあまりにデータが少なくて普通妄想扱いされるのがオチだと思います。
前回のエントリーにおいてコメント欄にこう書きました。

「これは海賊版取り締まりのための法案であるが、解釈次第では同人や創作活動の制限にまで広がる可能性がある」という論旨できちんと順序立てて説明できていれば私も特に問題ないと思います。しかし、これはやり方がうまくない。
あと、「非親告罪化」が一人歩きして、「同人パロディは非親告罪にて立件可能」にと更なるミスリードを呼んでいる事態も軽視出来ません。

そして気になるのは竹熊先生にこの件を教えた新聞記者の存在。

ちなみに俺にこの事実を教えてくれたのは某新聞記者さんですが、

そういえば俺に取材してきたのは朝日新聞の記者さんですが、26日売りの「be」という別冊版に記事が載るみたいですよ(最初27日の日曜版と書いてしまいましたが、土曜日に出るやつだそうです)。
それから、さっきTBSラジオから電話取材を受けました。いろいろコメントしておきましたんで、ニュースのネタにでも使われるかもしれません。

「教えてくれた」とあったので気になっていたのですが、朝日新聞はこの件について独自に動いていて竹熊先生に取材をする事で竹熊先生が知る事になった、という経緯のようですね。とりあえずこの記事を読んでみますか。
多分この件に異議を唱えている私は少数派でしょう。とにかく、私は一連の竹熊先生の言動を見ていると、危なっかしくてしょうがないです。国や警察が二次創作弾圧を掛けてくる、と疑うのと同様に、私にとっては今の竹熊先生にはなんとも言えない胡散臭さが感じられるのです。