『マイマイ新子と千年の魔法』公開宣伝会議@新宿ロフトプラスワン

ワンフェス終了後、新宿ロフトプラスワンで行われた『マイマイ新子と千年の魔法』公開宣伝会議に参加してきました。

実は自分、「マイマイ新子」普通に面白いと思うけど、そこまで突き抜けて面白いとは思ってないのよ。まあ、新宿ピカデリーとラピュタ阿佐ヶ谷と2回見に行ってるし、引っ掛かるものがあるのは確かなのでそういう点は自分も気になっている。だから今回のイベントテーマは公開宣伝会議とは言うものの、この映画を他の人がどう思って見ているのか、今のこの熱気はどういう空気なのかを感じたくて参加したというのが正直なところ。

片淵「ブラック・ラグーンとマイマイ新子の監督は別だから」
片淵「撮影監督も今日のイベント楽しみにしてたんだけど(俺が)リテーク出したから来られなくなっちゃった」

片淵監督の軽妙なブラックトークでイベントは始まった。

小黒「初めに見て思ったのは「どうやって売るんだ?」ってこと。」

自分も初見でそう思った、この映画非常に宣伝しにくいよなぁと。実際そうだったみたいで、そりゃエイベックスの人も

90分見てなんだか分からないけど感動するって映画を30秒CMにまとめろなんて無理じゃね?

ってなるわ。

そういえば個人で自分なりの「マイマイ新子」ポスターデザイン作ってた前岡さんのところ、「あとち」になっちゃいましたね。
http://red.ap.teacup.com/b2pil/166.html
自分も消える前のポスターデザインを見てますが、んーまあ、これは単純に話の行き違いっぽいのでお互いしっかりしてくれよ、と思うんですが。

片淵監督のmixi日記では、「一個人としてとても嬉しかったので監督ブログからリンクしようと思っていたが、従来のポスターを否定するようなコメントが書いてあるのを見て、監督の立場として振り返った時に申し訳ないけどこれを認めるような行動は出来ない」という旨のコメントが書かれていた。まあこれは当然だとは思います。前岡さんのデザインを否定している訳でもなく、気に入っていた上で残念ながら立場上・・・、という話なんですから。

これはファンを巻き込んでいる「マイマイ新子現象」を象徴するような「事件」だと思う。

自分の中でのマイマイ新子の魅力というのは片淵監督の「フェティシズム」の部分が大きい。
https://aniota.jp/20091223/maimaishinko/

・冒頭からフェチ全開映像。
・足、足、足、ペチコート。
・俯瞰なのに足に目が行く。
・貴伊子のゆるふわなうしろ髪。
・俺は「アリーテ姫」の時からあの監督、フェチだと思ってた!

とか。

小黒「百合として売った方がいいですよ。」
片淵「そう言われたのでtwitterの背景画に百合的ビジュアルの名残りが残ってます」
http://a1.twimg.com/profile_background_images/51936988/____0915.jpg
____0915.jpg

この辺の百合要素もフェチ的に重要である。

片淵「ストーリーの肝心なところはあえて言語化してない。キーワードを散りばめ、詩やメモで書き留めている。

文学フリマの片淵監督トークショーにて配布された「マイマイが風にさわぐ日々」という小冊子がある。
maimaibook.jpg
この小冊子の中でマイマイ新子のシナリオが出来るまでを監督が日記形式で綴っている。これがまさに上で言われてる片淵監督自身の言葉で書かれた「マイマイ新子」メモである。

片淵「上映期間や時間は公開2日目までの観客動員数で決まる。制作に2年くらい掛けたのに・・・。」
片淵「(物語の舞台である)山口県全体でのべ2万人、全国で3万人動員。」

システム化されているシネコンでは公開後の最初の週末の観客動員数がその映画の成績となる。成績が悪ければ上映回数の削減、より小さいスクリーンへの移動、そして最後に来るのは公開打ち切りである。マイマイ新子の場合、新宿ピカデリーでは早々に朝9時からの1回上映に切り替えられてしまった。自分が行ったのは上映存続を訴えるネットでの署名活動が話題になった後だったので満員だったのですが、それではもう遅いんですね。

片淵「ラピュタ的には(人手が足りないので)本当はレイトショーやりたくないんだけど、映写技士さんがラピュタで上映する事に賛同してくれたので今がある。ラピュタは毎日満員御礼で空席が無いから従業員も見れない。」

そして2回目はラピュタの補助席で見ました。ラピュタちょっといい話。

片淵「子ども向けアピールよりも親に重心。アンテナ広げてれば引っかかるようには作ってる」
片淵「スチレンボードに起・承・転・結と書いてその間にエピソードを入れていった」

片淵監督流マイマイ新子の作り方。以前「小さい波がさざなみの様に絶え間なく押し寄せてくる感じ」という感想を抱いたのはこういう作り方をしているからなんだなと再認識。

まあ分かるんだよね、地味なドラマを地味なお姫様を主人公で描いた(※森川聡子さんの地味なキャラデザはすごくいいです!)アリーテ姫の監督だから(※監督や作品を批判してる訳ではありません!むしろ好きです!)。細部のディティールに拘ってるのも航空研究家としての一面だろうし。
IMGP3724.jpg
写真は当時スタジオ4℃の通販で買ったアリーテ姫人形。4℃のスタッフによる手作りだと聞いた。今でも大切にしてます。見てよ、すごいいい笑顔でしょう!?こんな手の込んだ人形をたったの3,000円で売っちゃうんだから金儲け考えてないよね・・・。

宣伝会議の名の通り、ファンの方々の色々な意見が聞かれた。なるほど、と言う意見もいくつか見られた。それでも効果を考えると全部を実現してもいいところ今の2割増しくらいだろうというのも一つの現実。

広告予算は完全に底をついたし、広報活動も1月末をもって契約期間が終了しているとのこと。そしてマッドハウス的にはいつまでもマイマイ新子だけに関わっていられない状況もある。片淵監督には次回作の第3期ブラックラグーンに専念してもらいたいというのが実情だろう。それでもエイベックスの人は仕事抜きで大阪まで飛んでくれているし、こうして公開宣伝会議を開いてファンの声を聞いてくれる。自分は製作者側は出来る範囲でよくやっていると思うけどねぇ。

既に告知されているが渋谷シネマアンジェリカでの上映も決まった。3/13~4/2まで。地方のシネコンよりも都市部のミニシアターが適切なサイズのハコだと自分も思う。

少なくとも商業的に万人受けする映画ではないだろう。製作者とファンを巻き込んで揺れる「マイマイ新子」は最終的にどこを落とし所とするのだろうか。現段階ではDVDリリースも危ういが、それでもいつかは出るだろうとソフト化を期待している自分はダメなファンなんだろうか。

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