http://comicgear.net/
コミックギアは「マンガ誌の作り方変えてみました。」のコピー通り、編集者不在、漫画家主導で作られた新しい雑誌(ただし、KIRARA MENU 333と通し番号が振られており、あくまでもまんがタイムきららのアンソロジー扱い。)。
http://comicgear.net/concept.html
普通のマンガ誌は、編集者と漫画家が一対一で打ち合わせを重ねて作ります。
掲載されるマンガ家同士は、基本特にお互いの作品にタッチすることはありません。
それに対し「コミックギア」は
連載作家全員が、毎日一つの仕事場に集まり作業をし、
マンガ家同士が、協力し合って作っています。
この方式、一見とてもアナログなようですが、いいところがたくさんあります。
まず作家陣同士が常に一つの仕事場にいることによって
マンガに関する技術や知識を共有でき、
ネームの回し読みなども全員で行うことができます。
面白くないと思えば容赦なくダメ出しの嵐が来ます。
また、厳しくする一方で、苦手の分野があれば、
それを得意としている別の人間がアドバイスする。
そんな協力関係も自然に生まれます。
言い換えれば、すべての連載作品が面白くなる方法を、
参加している作家全員が考えているという環境になっています。
一見、こういうトキワ荘的なシステムは漫画家にとって理想的なマンガ制作環境のように見えるが、理想的なマンガ制作環境が作品の質向上に繋がるかというとそうでもない訳で、漫画家同士でアドバイスできると言っても、何の責任も負わないアドバイスは内輪のぬるま湯と言わざるを得ない。
本来、漫画雑誌というのは漫画家という個性のぶつかり合いで成り立っている。平均的でそつない漫画なんて少なくとも自分は興味が湧かない。他の漫画家の完成原稿が発売されるまで分からない編集部主導型の漫画作りと比べて、質の全体的な底上げは出来ても突き抜けた作品がよりエッジを磨く事が出来ないこのシステムからは面白い漫画が生まれる土壌が無いように思う。優れた漫画家が優れた批評眼を持っているなんて思ってないから!
面白くないと思えば容赦なくダメ出しの嵐が来ます。
コミックギアの製作総指揮を司ってるヒロユキ氏にダメ出しできる漫画家はいなかったのだろうか?ヒロユキ氏の「スーパー俺様ラブストーリー」は一挙2話94P掲載と言うことだが1話:48P122コマ、2話:46P137コマで、平均して1P辺り3コマも無い。コマ数が少ない作風だとしても意味ない大ゴマ、見開きの連続で、どう見ても1話分のプロットを無理矢理2話分94ページに引き延ばしてページ稼ぎをしているようにしか見えない。演出に欠けている上に話の間延びもいいところ。これにダメ出し出来てない以上、このシステムが理想で終わってしまってる事の証拠に他ならない。
どうせならコミックギア500P全部ジャスティスに描かせればいいのに。
そういうコミックギアの中でもeスポーツをテーマにした友吉氏の「GoodGame」(主人公の格闘ゲーマー大吾は明らかにウメハラダイゴがモデルだろう。)と、とりねこ。氏の「ヒヨコと道化と不思議の街と」の2作品がかろうじて及第点といったところか。
漫画家主導の新しい漫画雑誌が登場!『コミックギア』特集 前編
この記事を見るとかなり広いオフィスで制作が行われているのが分かる。これは芳文社のオフィス?インタビュー中にはマンションを借りたとかあるけども、(練馬区にある制作スタジオ、とのこと)この広さだと月100万は下らないんじゃなかろうか。漫画家が一カ所に集まれる場所(アシスタントも)を用意するというのはコミックバンチが先んじてた気がするが、今もそのシステムあるんだろうか。
ヒロユキ:(前略)それに編集さんは絵に関して良いか悪いかは言えますけど、どう直せばいいのかまでは言いづらく、作画に関しても絵を描いてきた漫画家ならではの指摘ができます。もちろん私も勉強中の身ですが、それでも見づらくて伝わりにくいカットを具体的に指示したり、ネームに即座にアドバイスできることなど、やれることは多いと思います。
とのことでやはりここには作画の技術論はあれど、漫画論は無い。
色々文句書いてきたけど、このシステムの良いところとして、朝9時出社(してるんだよね?)という漫画家にしては規則正しい生活をベースに仕事出来ると言うことがあげられる。編集というストレスが無いのも過酷な作業の中で精神的にゆとりが生まれるだろう。
しかし読者としてはアウトプットされた物が全て。1号を読んだ限りでは編集がいないことのデメリットばかり目に付いてしまったが、11月に出るという2号を読んで改めて評価したい。
著者:ヒロユキ
出版社:スクウェア・エニックス
定価:¥ 500(税込)
在庫:在庫あり。
中古:¥ 100~