「虹色ほたる」を4回見てきた


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「虹色ほたる」を今日まで4回見ました。初めは友人に誘ってもらった試写会で見て、公開週の日曜に2回目見て、会社帰りに3回目見て、そしてこの日曜にも銀座で見てきました。4回見たけど見るたびに新しい発見があるのがすごい。サマーウォーズのような夏の映画として気楽に見ることも出来るし、じっくり見て画面に隠されたメッセージを探し出すのもまた楽しい。

舞台は1970年代にダムに沈んだ村、主人公であるユウタは亡き父との思い出のカブトムシ採りに一人この村へやってきた。冒頭から驚かされるのはとにかく一切のCGを使っていないこと。3DCGで描かれた乗り物や小物類に慣れた目にはユウタの乗ってきたバスが全て手描きで描かれていることに早くも驚かされる。CGはCGで大事だけどもこのアニメのテーマでもある「ノスタルジー」には手描きが相応しい。アニメーターたちもそれに応えてロクに線も繋がっていない一見ラフな太い描線で見応えのある画面作りがなされている。特に山下高明氏による、ダムに沈もうとする村を憂うような俯瞰多めのアングルで捉えている画面設計が素晴らしい。その辺りの手描きアニメーターへのリスペクトはエンディングにも表されています。

キャラクターのセリフは余計な説明がないため初見には若干分かりづらいかと思われる。しかし、セリフで説明されない分はキャラクターの芝居で描写されていたりするのでそれに気がつくと全ての芝居に意味があるように見えてくる。そうなるとまんまとハマってしまう。
声優は可能な限り子役俳優たちで固めている。特にさえ子役の木村彩由実ちゃんの甘ったるい声がかわいくてものすごく耳に残る。

胸を突き出して「一緒に帰ろう!ユウタ君!」かわいい

心配そうに見つめるユウタに「ん?」かわいい

一度見た人も是非二度三度と足を運んで欲しい作品です。個人的にはここ10年で一番好きなアニメ映画になりました。
https://www.youtube.com/watch?v=zEd4hOqStO0
冒頭20分期間限定公開(5/19までの公開予定のはずだったけど今も見られます)

予告編

宇田鋼之介監督のインタビュー記事。ネタバレありなので観覧後にお読みください。

エキレビ!「虹色ほたる」監督インタビュー前編
http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20120524/E1337818548893.html?_p=1

エキレビ!「虹色ほたる」監督インタビュー後編
http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20120525/E1337876324568.html

※以下、ネタバレを含むので閲覧注意

【物語の舞台】
舞台は架空の場所、蛍が丘ダム周辺。ユウタの父親のバイクが所沢ナンバーで、6年生のユウタが一人旅できる距離ということから関東近郊、新聞のテレビ欄に42チャンネルがあることから神奈川・山梨・静岡辺りと推測される。

【事故の場所】
ユウタが歩いていた道は父親が事故に巻き込まれた道路。看板が立っている辺りが事故現場なのだろう。

【中丸商店】
ユウタがアイスとスポーツドリンクを買った商店。実は1年前の事故直前に父親が電話してきた商店でもあり、緑の電話が確認できる。亡き父親の足跡を辿っている描写。

【ユウタの帽子】
ユウタの被っている帽子は父親の形見の帽子である。キャラクター設定表ではワッペン無しのデザインになっている。その後餞別としてケンゾーの手に渡り、エピローグではケンゾーの息子が被っているのが確認できる。

【1年前の今日】
おばあちゃんが出かけたあの日、さえ子が布団の中で泣いているのをユウタは見てしまう。この日はさえ子のお兄ちゃんとユウタのお父さんが事故に巻き込まれて亡くなった日。現実世界でおばあちゃんは2人とどういう関係にあるのか不明だが、おばあちゃんが喪服を着て出かけたのがそれを暗示している。

【浴衣のさえ子】
最後の日、おばあちゃんに浴衣を着せてもらうさえ子。「前は自分で合わせなさい」と言うおばあちゃんのセリフが深い。向こうの世界へ行く(左前にする)かを自分で決断しなさいと諭されたシーン(じゃないかと思ってる)。

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