「名称なんかどもでもいい」1年半振りに更新


http://d.hatena.ne.jp/soapland/20080124#p1
「名称なんかどもでもいい」はsoaplandさんのブログ。なかなか触れられる機会のない古いアニメーションや海外のアニメーション、自主制作アニメーションなどの記事が、その情報を出し惜しみすることなく精力的に更新されており、個人的に彼の書くアニメーション記事を楽しみにしていた。彼の取り上げるネタはアニメではなくアニメーションだった。
しかしこのブログの記事を巡ってある一つの事件が起こる。
彼が資料をまとめてブログ上に掲載した『ベティ・ブープ出演作』リストが浅尾典彦著『アニメ・特撮・SF・映画メディア読本―ジャンルムービーへの招待』に無断転載されたのだ。それに気づいたsoaplandさんは著者と出版社に抗議、一時は謝罪も得たが法的根拠の問題からこじれはじめ、どうにもならない泥沼に陥ってしまった。この件に関しては俺には何も言えないし、言う事もない。ただ、彼のパーソナリティに不思議と共感を覚えるのだ。

私は友達というものが皆無である。幼少のころから本と映像が友達のようなものであった。本といえば単行本/新書/雑誌/マンガなどなんでも読むし、映像なら映画でもTVでもジャンル問わずどんなものでも見る。暇さえあれば毎日のように本屋に行っていたし、古本屋巡りも趣味の一つであった。休日はアニメーションの上映会や映画の特集上映、新作映画の封切りなどに足を運び、平日はレンタルしたビデオやDVDを見ていた。

俺の旧友にHという男がいる。Hとは小学生からの付き合いだったがクラスでもほとんど誰とも喋らず、その中でも俺は数少ないHの友達の一人だった。俺も友達が少なく外で遊ぶよりも家で本を読んでいるのが好きだったのでHとは気が合った。Hは家庭の事情もあって、小学生にしては比較的おこづかいが自由に使え、藤子不二雄の単行本をほぼ全て揃えていて、俺はHの家で初めてドラえもん、オバQ以外のアニメではない藤子不二雄作品に触れる事が出来た。夏休みともなると朝から二人で本屋に行って夕方までぶっ通しで漫画を読破していたりした。
周りがチャンピオンやジャンプを読んでいる中、Hは一人宇宙船やSFマガジン、スターログを愛読している小学生だった。正直、当時Hのレベルに付いていけるものは周りにおらず、故にHは友達が少なかった。俺のオタク人生はHによって最初の洗礼を受けたと言っても過言ではない。
soaplandさんを見ているとHを思い出す。連絡取れなくなって久しいが今どこで何しているんだろう。
soaplandさんは業界人、もしくはそれに近しい人なのかと思っていた。今回の事件で個人vs出版社の図式が露わになったことで、あのサイトを個人が趣味でやってるということが明らかになり軽い驚きを覚えた。てっきりどこかで変名ででも書いている人かと思っていたから。おそらく日々一人で知識とデータを貯め込んでいたんだろう。そしてプロの物書きにならないこういう人が世界にはまだまだだくさんいるんだろう。
普通に考えれば何がそんなに悔しいのかと思うが、それが彼の全てだったから。それが分かるから俺は彼に対して何も言えない。ただ、「こんなサイトなんかやらなければよかった」なんて言葉は聞きたくない。
www.jarchive.org アニメ・特撮・SF・映画メディア読本―ジャンルムービーへの招待』(浅尾典彦著)を巡って

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください